トライアスロンとは、水泳・自転車・マラソンを連続して行う競技。世間では「鉄人レース」との呼び名で、認知度もかなり上がってきた。
「でも本来のトライアスロンは、誰でも参加できる、健康作りのためのスポーツなんですよ。」とは、宇都宮ブレイブ村上塾で塾長を務める、村上晃史さん。
「私はトライアスロンというスポーツ自体を、○(まる)のイメージで捉えているんです。通常のスポーツって三角だと思うんですよ。頂点にトップ選手が君臨していて、側面が次に控える若手の学生たち、底辺は一般の愛好者の方々。三角だと、注目されて日の目を見るのはトップ選手だけですが、トライアスロンは違う。
時に一般の愛好者が輝くときもある。トライアスロンをやる人はみんな主役で上も下もない。底辺がクルッと回れば上下が反対になり底辺のはずが頂点だったりする。
それから、プロもアマチュアも同じ土俵で一斉にスタートを切れる。
アマチュアの大会の時にプロ選手の横を走る事だってできるわけです。」
村上塾長がトライアスロンに出会った時も、衝撃的なインパクトがあったといいます。
「大学生の時に陸上の棒高跳びをやっていたんですけど、それを断念する時に、
たまたまある方に誘われて、トライアスロンの競技を見に行ったことがあったんです。」
そこで村上さんが目にしたものは・・・これまでに見たことのないスポーツのスタイルだった。
3位以内に入らない選手は、評価なし。それが、これまで経験してきたスポーツの世界だった。
だがトライアスロンはまったく違った。100位になろうが200位になろうが、一人一人にゴールテープが用意され、老若男女問わず笑顔で、涙を流してゴールする。
そこには「他人に勝つ」というより、「自分との戦いに勝つ」競技のスタイルがあった。
「今、自転車のロードレースって増えてますよね。エコと健康ブームが同時期にやってきたから、自転車がものすごく流行っているからなんですよ。伴ってマラソンなどを含むランニングも、プロ選手たちの活躍もあいまって花形になっています。
あんまり知られていませんが、昨年対比でトライアスロン大会の参加人口も1・5倍~2倍に増えているんです!私としては、うれしい限りです。」
だが、トライアスロン自体は、まだまだ注目されるメジャースポーツではないのが現状。
「世界大会でメダル選手をまだ出せていないことも原因のひとつですね。あとは、トライアスロンが日本に入ってきた頃に『鉄人』というネーミングを付けちゃったでしょう?あれがいけなかった。筋肉ムキムキのすごい人しか出来ないような過酷なイメージが未だ抜けないんです。」
「一歩でも歩けば運動」と村上さんは語る。
「走らなくても、歩けばいいんです。自転車だって、買い物がてら乗る速度でいいんですよ。また、短距離用のトライアスロンもうちの塾で開催しています。子供から大人まで、ご家族で気軽な気持ちで参加される方も多いんです。仕事しながら、家事をしながら、5分でも10分でも歩いたり自転車に乗ったり・・・それも立派な運動なんですよ。」
「私はコーチとしてよく言うんです。プロとしてスポンサーの元、1日中トレーニングにいそしむよりも、仕事や子育てをしながら合間を縫って、朝早くランニングして、泳いで両立させている社会人の方がよっぽど社会に貢献しているぞ、と。」
ではプロの選手が社会にできることは?
そこで問われるのが、選手の姿勢の部分だという。
「結果を残すことを大前提としても、結果が残せる選手というのは当然姿勢も違うんです。つまりは人間としての資質。そこも磨いて、最後に日の目を見てコメントを求められた時、人に感動を与えるような気の利いた謙虚なセリフが伝えられるかどうか、そこが一番重要なんだと私は信じています。」
人としても一流の選手に。プロの選手の育成の時は打って変わって、まずは基本の挨拶・礼儀、ゴミひろいや掃除から徹底して指導するという。
取材に訪れた合宿所には、抱負や目標を書いた紙がびっしりと貼られている。エリート選手ですら、日常の細かい習慣から自分を律するところからスタートするそうだ。
「コーチはまさに、経営者と同じです。自分のチームをいかに強くするか、発展させるか。
私は現役の時に一流の選手ではありませんでした。差別もされた。だからこそ、その気持ちも不足しているものも分かるんです。」
そしてトライアスロンは人生と同じ。人間の究極の楽しみとは、自分を高めていくことだ、という。
「一生修行するぞ、という心境ですね。トライアスロンをしながら自己と向き合う、これは確実に思考の基礎になっていきます。自分に課せられた課題に真っ向から、全力で取り組む基礎をしっかり身に着けるんです。謙虚にしなやかに、たくましい精神が仕上がっていく。例えトライアスロンから離れたとしても、必ず人生の勝利者になれる!と選手には指導しているんです。」
子供から一般の方まで、トライアスロンおよびスイム、バイク、ラン他ウォーキング等を楽しめ、健康に地域の方たちが過ごせるよう貢献していきます!
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村上晃史さん
2009.11.20 聞き手=深澤明子 文=松島佐和子
村上晃史さんライフ イズ トライアスロン
1967年3月22日生まれ(42歳)。順天堂大学体育学部健康学科卒(体育学士)。トライアスロンナショナルチームコーチ。JOC有望オリンピック選手コーチ。
92年全米選手権コロラド州代表出場。92年有森裕子専属トレーナー(バルセロナオリンピック銀メダル獲得)。02年宇都宮ブレイブ村上塾設立。
宇都宮ブレイブ村上塾 tel.028-667-8534